事業仕分けと大学(3) 教育への投資を何で計るのか

科学技術関係の事業仕分けでは、次世代スーパーコンピュータの「廃止」判定が世間の耳目を集めたが、大学としては国立大学法人の運営費交付金や、グローバルCOEプログラムの方がより重要性が高い仕分け対象だったはずである。運営費交付金は国立大学の運営の根幹を支える資金であり、グローバルCOEは私立大学を含めて、大学が一番採択されたいと考えている競争的資金の一つである。特別教育研究経費を除く運営費交付金については、「国立大学のあり方を含めて見直しを行う」という結論で、ある意味先送り的な印象があるが、グローバルCOEについては1/3程度の予算縮減というのが判定結果であった。

事業仕分けに参加した仕分け人のコメント(行政刷新会議のホームページからダウンロードすることができる)について、グローバルCOEの当事者からは、的外れ、理解不足といった意見も出されているが、仕分け人は重要な指摘をしたと筆者は考える。

一つには、事業開始時点に何をもって事業を評価するのかが意識されていないという指摘である。グローバルCOEに関わらず、この指摘は国の事業の多くに当てはまる。官庁の人事ローテーションにより予算策定時の担当者、事業を実施する担当者が異なることから来る問題が大きいのであるが、これに加えて、グローバルCOEのような教育事業の評価の困難さ(教育はアウトカムで評価するには時間がかかり、プロセスを見ざるを得ない)も要因の一つである。開始時に評価指標をうまく設定できない事業については、事業を実施しながら、事業参加者の協力の基で評価方法・評価指標を検討していく必要があったと考える。

もう一つの重要な指摘は、モデル事業としては採択件数が多いのではないかという指摘である。日本の大学全体の専攻数の多さや分野別採択であることを考えると、グローバルCOEの採択総数は大した数ではなく、十分モデル事業と言えるという考え方もできるが、一般には130という採択数が多いと認識されても不思議ではない。例えば、a)研究開発で導入されているステージゲートのように最初の段階では多くに少額を配分し、次の段階では採択数を減らして配分額を増額する方式を用いるのか、b)最初から少数に重点配分するのか、c)中ぐらいの採択数に中ぐらいの資金を配分するのか、d)それぞれのケースでモデル事業の成果をどのように他大学に拡げていくのかといった、モデル事業としての設計が教育関連事業にも求められるようになったと考える。

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科学・安全政策研究本部 主席研究員
山本 誠司

2010年01月05日

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